お金を投資・運用するなら株式?債券?投資信託? 初心者向けにお金のプロが解説

 いざ投資を始めようと思っても、株式、投資信託、債券、保険と、様々な金融商品があり、どれを選べばよいのかわからない、という人も多いのではないだろうか。金融商品は、収益性の高いもの、安全性の高いもの、流動性の高いものなど、それぞれ異なる特徴を持っている。増やしたいお金なのか、守りたいお金なのか、備えたいお金なのか、目的に合わせて金融商品を選ぶのがポイントだ。子どもの環境・経済教育研究室代表・泉美智子さん著、ファイナンシャルプランナー奥村彰太郎さん監修の『今さら聞けない投資の超基本』(朝日新聞出版刊)から、投資初心者向けの金融知識をまとめておきたい。

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 お金を投資・運用する金融商品には、銀行などへの預金のほかに、株式、債券、投資信託、保険といった種類があります。それぞれ特徴が異なります。目的によって「備える」「守る」「増やす」などと選ぶといいでしょう。

 金融商品を選ぶ際のよりどころになるのが、「収益性」「流動性」「安全性」という、金融商品ならではの3つの特質です。どの特質を強く持っているかは、金融商品の種類によって違います。守るお金なのか、増やすお金なのかといった、目的に向く特質の商品を選んでいく必要があります。

■増やす収益性が目的のお金なら株式、債券、投資信託

 増やすことが目的なら、投資したお金が大きくなって返ってくる金融商品を選びます。老後の趣味にとっておくお金など、すぐには使わず、必要度も低い場合に必要な視点です。

 老後資金を貯めておきたい(若年層の場合)、定年後の楽しみのため、子孫に遺す財産などの場合に向いています。その他の投資先としては不動産や美術品なども考えられます。

■守る安全性が目的のお金なら銀行預金、債券、保険

住宅購入のための資金、教育費など、近い将来に目的があり、目減りさせたくない場合に必要な視点[上原 千穂2] です。住宅購入資金、子どもの教育費や結婚援助金、車の買い替え資金……。

10年ぐらいの間に使う目的が決まっている資金、老後資金などは、リターンは低いくても、お金が安全に守られる金融商品を選びます。銀行預金、債券、保険がおすすめです。

■備える流動性が目的のお金なら現金、預貯金

失業やケガ・病気など、いざというときの生活資金、予備資金の場合は、現金で持っておくか、いつでも引き出せる銀行預金を選ぶのがいいでしょう。2~3カ月分の生活費は、確保しておくほうが安心です。病気や失業など、万が一のときのために必要な視点です。

■収益性・安全性・流動性のすべてがすぐれた商品はない

 大事なお金を投資するのだから、安全で収益性も高い、少しでもメリットの大きい金融商品を選びたいもの。とはいえ、3つすべてを備えた商品は残念ながらありません。投資できるお金の額やライフスタイル、ライフプランも考えながら、それぞれをバランスよく組み合わせていくのがよさそうです。

 金融商品によっては、お金を預ける期間に応じたメリット・デメリットもあります。預金のように、長く預けるほど利息が増えていくものもあれば、株式のように、瞬発的に売ったり買ったりすることで、損得が生じるものもあります。運用の上では、長期で増やせばいいお金なのか、短期で増やしたいお金なのか、という視点も大切です。

■まずは自分のリスク許容度を知ることが大切

 くわえて自分の「リスク許容度」を知りましょう。リスク許容度とは、投資する上でどの程度のリスクなら耐えられるか、ということ。運用に回せる余剰資金のうち、いくらまでなら損失してもよいと考えられるでしょうか。

 資金に余裕があるほど、また年齢が若いほどリスク許容度も高くなる傾向がありますが、自身の性格も関係します。株価が下がるたびに食事がのどを通らなくなるようなら、あまりリスクの高い(収益性の高い)商品に大きなお金を投資しない方が無難です。

 「〇年後の収入や貯蓄」など、現在のお金の管理とライフプランを組み合わせて長期的な視点で考えながら、どの目的のどの商品に回すかを組み立てていきましょう。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂)

2023-07-27T22:06:38Z dg43tfdfdgfd